CGという道具

6月かぁ。もう今年も半分になる月だなぁ。

・・・

「CGという道具」について、ちょっと知り合いの掲示板で考えた。


僕は、一般の人が目にするCGって、まだ、
ある映像作品を構成するための要素としてしか
意識されてないと思うのね。


たぶん、クライアントもそう。
ハリウッドの映画見て
CGってなんか実写で出来ないスンゴイ表現ができる魔法の杖なんだー!
って思い込みがあるような、ね。
で、自分の依頼したものにも、ハリウッド映画みたいな
CGという道具を使いたいと思う。もちろん、安く。


そんなのクリエイター側から言うと当然、
ハリウッド並にお金くれ。
って結論になると思うんだけど。


CGは魔法の杖じゃあない。
技術だから。


これがまた、クライアントがちょっとCGかじった事があると
なおややこしい。


プロのCGクリエイターに


「パソコンで一人でもできるんでしょ?
ソフトさえあれば、誰でもできるみたいだし、
なんか、ちょちょいっとやってよ。(安くでさー)」


・・・みたいな雰囲気があるようで。


プロのマンガ家に、


「家で一人でもできるんでしょ?
紙とペンさえあれば、誰でもできるみたいだし、
なんか、ちょちょいと描いてよ。(安くでさー)」


って言いますか?


想像力が足りないなぁと。


そう言う話と、もうひとつ。
「3DCGクリエイターは道具(3DCGソフト)を作った人と
二人三脚で仕事をしているんだ、共同作業なんだ」との意見がありました。

悪いですが、僕はNOだと思います。
もちろん、大きな目で見ればそうかも知れませんが
実際は、最初から経済的な関係を持った生産者と消費者なので、
そこには自ずとお互いの立場の優劣が生じています。


クリエイターが道具を試して、ダメだと思って捨てる。
この時、クリエイターはただの消費者にしかすぎません。


例えばTVで面白くない漫才を見たら、
その漫才師のことを考えて、我慢して見ますか?


普通は次の瞬間、チャンネルを変えるでしょ?
同じ事です。


身勝手と言われようと、関係ないんです。
その道具を作った人がどう思おうと関係ないんです。


自分にとって、使えない。それが全てです。
TVのチャンネルなんかよりずっと死活問題ですし。


いくら誠実な生産者が、手間暇と丹誠を込めて作った物でも
身勝手な消費者に、あっさり裏切られる事は頻繁にあることだし
覚悟しておくべきだと思います。*1


流通し消費される物、つまり商品の運命とはそういうものだと思っています。


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*1:このへんはクライアントとクリエイターの関係にも似ていますね。